令和6年能登半島地震による被害が発生しなかった当社データセンター
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は石川県能登地方を中心に大きな被害をもたらしました。富山県においては観測史上初である震度5強を観測し、これまでに経験したことのない揺れとなりました。
この記事では、この地震による当社データセンターへの影響や、当センターの所在地である富山県に地震が少ない理由などをご紹介します。
令和6年能登半島地震による当社データセンターへの影響
令和6年(2024年)1月1日16時10分頃、石川県能登地方においてマグニチュード7.6の地震が発生し、最大震度7を観測しました。
この地震で、富山市では観測史上最大の震度5強を観測しましたが、当社データセンターの免震装置を設置している強固な地盤で測定したところ震度4.3にとどまりました。
このとき、2011年6月の事業開始以来、初めて免震装置が稼働しました。
富山市で観測史上最大の震度5強を観測したにもかかわらず、当社データセンターの強固な地盤かつ5種類の免震装置(計49基)で地震の揺れを吸収し、建物の揺れが大幅に軽減されました。
結果、建物や設備に被害が発生することはなく、また、電力供給が途絶えることもなく、お預かりしているお客さまのサーバー等に全く影響はありませんでした。
鉛プラグ積層ゴム支承(16箇所)
建物を支持し、内蔵する鉛プラグにより地震エネルギーを吸収。
直動ころがり支承(13箇所)
建物を支持し、摩擦の少ないメカニカルレールで長周期化ができる。
オイルダンパー(12箇所)
1基あたり最大100トンの力を吸収。地震時のエネルギー吸収効果が高い。
鉛ダンパー(6箇所)
風の揺れかつ地震エネルギーを吸収。
弾性すべり支承(2箇所)
積層ゴムが上部に取り付けられており、下部の板の上をすべることによって長周期化ができる。

当社では、地震時における建物の揺れの記録を残すために、「ケガキ装置」を用いています。
ケガキ針がケガキ板に残した軌跡を目視確認することで、実際に建物が揺れた範囲を知ることができます。
その軌跡から、この地震による建物の揺れはわずか2センチメートル程度であったことが分かります。
(写真参照)
同年、石川県西方沖での地震による当社データセンターへの影響
令和6年(2024年)11月26日22時47分頃、石川県西方沖でマグニチュード6.6の地震が発生し、輪島市などで最大震度5弱の揺れを観測しました。
この地震で、富山市では震度4を観測しましたが、免震層内の観測では震度2.5にとどまりました。このときは、免震装置が稼働することなく、ケガキ装置での記録もありませんでした。
強固な地盤で地震の揺れを吸収したことが分かります。
富山県の過去100年間における震度5弱以上の地震
大きな地震が少ない印象の富山県ですが、実際に過去100年間(1925年〜2024年)における震度5弱以上の地震発生の回数は3回です。
- 1930年の大聖寺地震(最大震度5)富山県:震度5
- 2007年の能登半島地震(最大震度6強)富山県:震度5弱
- 2024年の令和6年能登半島地震(最大震度7)富山県:震度5強
※気象庁「震度データベース検索」より
回数が3回というのは、47都道府県で最も少ない県にあたります。
極めて少ない結果となっていますが、それはなぜなのでしょうか。
富山県に地震が少ない理由
大きな地震が少ない富山県ですが、以下のようなことが考えられています。
富山県で想定される地震の種類が、活断層の活動により起こる「内陸型地震」であり、「海溝型地震」の影響を受けにくい地理的理由があげられています。
「内陸型地震」における主要活断層の平均活動間隔は、千年~数万年程度と長いため、今後数十年単位で地震が発生する確率は極めて低いとされています。
一方、「海溝型地震」は、海のプレートと陸のプレートの境界に位置する海溝沿いで発生する地震で、数十年〜数百年程度の短い間隔で繰り返す傾向があるといわれています。
現在では、南海トラフ地震(マグニチュード8~9クラス)の起こる確率が高いとされ、広範囲で甚大な被害が懸念されています。
(文部科学省地震調査研究推進本部ホームページより)
近年の傾向
「内陸型地震」は、平均活動間隔が長いため、発生確率が低くなりますが、「内陸型地震」「海溝型地震」を問わず、日本ではいつどこで地震が発生してもおかしくない状況であり、どの場所においても地震による強い揺れに見舞われるおそれがあるといわれています。
令和6年能登半島地震以来、BCP(事業継続計画)の観点から、耐震・免震など地震に強いデータセンターに対する関心が高まってきています。
帝国データバンクが令和6年(2024年)5月に実施した「BCPに対する企業の意識調査」で、事業継続に対して想定するリスクは「自然災害」が7割超でトップであり、事業が中断するリスクの備えとして「情報システムのバックアップ」が上位を示していました。
情報システムのBCP対策が必要となる中、地震対策としての強固な地盤や免震装置、それに加え災害時も安定供給される電力を保有するデータセンターを活用することは非常に有効な手段といえます。
また、データセンターを活用すれば、自社内にサーバーや通信機器を設置する必要がなくなるほか、サーバーの管理・運用にかかる業務の削減になり、効率的な事業運営が期待できるというメリットもあります。
おわりに
情報システムのBCP対策をご検討されているお客さまに、令和6年能登半島地震を乗り越えた当社データセンターの強固な地盤や免震装置、その他災害対策をご案内させていただきたく、ぜひ一度、ご視察いただけると幸いです。